それは今から14年前のことだった。
その朝、起きた瞬間に激しいめまいに襲われた。
何かに捕まっていないと上体を保っていられない。
2、3分ほどじっとしていたら少し落ち着いてきた。
安心して、いつものように起き抜けのタバコに火をつけた瞬間、再び激しいめまいに襲われた。
病院で診てもらったが、原因不明。
これはタバコが原因に違いないと自分なりに考えた。
タバコを吸うとめまいがする病にかかったのだ。
いや、そう思い込もう。このまま吸い続けると大変なことになる。
そしてタバコを辞める決意をした。
当時、何かの本で読んだ、禁煙を始めて6ヶ月の段階で再喫煙してしまった人の割合は90%という。
自分は90%には入るまい、のこりの10%にはいってやろうと意気込んだ。
それからしばらくは我慢の日々だった。
タバコを吸いたくなったときは自分に暗示をかけた。
タバコを吸うとめまいがして気持ち悪くなる、自分はタバコが嫌いなんだと。
つらい日々が続いたが、徐々に渇望はおさまった。
しかし、その後もよく夢を見た。
気持ちよくタバコを吸っている自分、途中気がついて、はっ、吸ってしまった!と後悔しているところで目が覚めて、夢か、、となる。
そんなことが断続的に1年くらいは続いたと思う。タバコの影響力は恐ろしいものである。
そんなことがありつつも、タバコはすっぱりやめることができた。禁煙は成功したのだった。
が、しかしそこから別の問題が起きた。
体重が増えだしたのだ。
タバコをやめると口寂しくなるとか、食べ物が美味しくなるから食べすぎてしまうとか、よく言われる
考えてみると、自分が太りだしたのはこの頃からだったような気がする。
禁煙をして、タバコを吸わなくなると、脳内の快感(報酬)が不足すると言われている。
その不足した快感を補う役割を担ったのが、自分の場合食べ物だった。
食べ物を必要以上に食べて快感を補う。つまり食べ物依存である。
禁煙には成功したように見えたが、そうではなく、依存症の対象を食べ物に切り替えただけだった。
そこから肥満に一直線。気づいたときにはピークで91キロとなっていた。
ここ最近、一念発起して、ダイエットを始めてから30キロ痩せることができた。
ダイエットはいろいろと試行錯誤してきたが、結果的に考えると、快感を得る対象を、「食べること」から「健康的な取り組みを楽しむこと」にすり替えることで成功したのだと思っている。
タバコを吸わなくなってから14年、これでやっと真の禁煙ができたのだ。
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